映画・演劇などの評論家の山口 拓朗氏のレビュー
2008年10月に東京ディズニーリゾート内(ディズニー・アンバサダー・ホテルの隣接地)に
グランドオープンするカナダ発のパフォーマンス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の専用劇場
「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」にて、注目のレジデントショー
「ZED(ゼッド)」のトライアウト(プレビュー)公演を観劇。
人間の肉体および運動能力の極限を見せつける究極のショーが、
「シルク・ドゥ・ソレイユ」の演目「ZED(ゼッド)」。
シルク・ドゥ・ソレイユを観劇するのは、00年に日本公演が行われた
「サルティンバンコ」に続き2度目だ。
「サルティンバンコ」は、ストーリーと視覚的な美的さを重視した作品だった記憶があるが、
このたびスタートする「ゼッド」は、最初から最後まで興奮&感動が持続する
スリリングかつエキサイティングなアクロバティックショーである。
専用劇場ならではのアドバンテージをいかした壮大なパフォーマンスの数々は、
観客をひとときたりとも飽きさせない。
世界各国から選りすぐられた国際色豊かな約70名のアーティストによって披露されるのは、
バンジー、ラッソ(輪縄)、バンキン、ポール&トランポリン、ハイワイヤー(綱渡り)、
ハンド・トゥー・ハンド、フライング・トラピス(空中ブランコ)など。
鍛え抜かれた一つひとつの肉体芸は、徹底的にその完成度が追求されており、
視覚&聴覚から飛び込んでくる刺激と驚きが、全身を貫通し、
気がつけば感動に浸っている自分がいる。
19世紀の美学に彩られた創造性豊かな舞台セットはもとより、
衣装や照明、生歌&生音楽等など、パフォーマンスのテーマにピタリと寄り添う演出も秀逸で、
観客に贅沢このうえない時間を与える。
「ゼッド」――これはもはや人間の肉体をモチーフに作り上げた無形芸術の至宝である。
日本でこのレベルのショーが見られる常設会場が作られたこと自体が画期的だ
(日本でオリジナル作品をロングランする目的で建てられた劇場は、
「歌舞伎座」「宝塚劇場」「四季劇場」くらいなもの)。
ラスベガスあたりにまで行かないとお目にかかれない極上のパフォーマンスが、
これから日本で観られるのだ。
歴史的な一歩だと思う。
2000人を収容する専用劇場は、どの位置からでもパフォーマンスが楽しめるよう
工夫が凝らされている。
アーティストの肉体と汗と表情をまじまじと見ながら演目の興奮を味わいたいのであれば
ステージ寄りがオススメだが、後方位置から大がかりな舞台セットを含めた演目全体を
眺めても、また違った醍醐味が味わえるだろう。
どうしてこんなことができるのか?
そんな驚きの連続が待ち受けている。
より多くの方に、この衝撃と感動を味わってもらいたい。
山口拓朗 公式サイト「音吐朗々NOTE」